労働基準法 第115条 + 民法 第140条・第143条
2年は、有給の条文には書かれていません
「有給は2年で消える」は正しいのですが、その2年が書いてあるのは 年次有給休暇の第39条ではなく、時効を定めた第115条です。 しかも第115条は「2年」と「5年」の2つを並べていて、どちらに入るかで結論が変わります。 さらに、何月何日に消えるのかは労働基準法ではなく民法が決めています。 3本の条文を順につなぐと、日付がひとつに定まります。
① 2年か、5年か(労働基準法第115条)
2026-09-06 取得の原文です。
この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
一文のなかに「賃金の請求権 = 5年」と「賃金の請求権を除くその他の請求権 = 2年」が並んでいます。 年次有給休暇を請求する権利は「休ませてください」と言う権利であって、 お金を請求する権利ではありません。したがって後ろの2年に入ります。
ここが分かると、よくある混乱もほどけます。「使っていない有給の代金を、あとから5年ぶんさかのぼって請求できますか」という質問は、休暇の請求権(2年)と賃金の請求権(5年)を1つのものとして考えているために出てきます。 条文はこの2つを分けて書いています。
② 数え始めるのは付与日か、その翌日か(民法第140条)
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。 ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
本文だけを読むと「初日は算入しない」ので翌日から数えることになります。 しかしただし書があります。「その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない」。 年次有給休暇は付与された日の午前零時から使えるので、このただし書に当たります。 つまり起算日は付与日そのもので、翌日ではありません。
③ 満了するのは何日か(民法第143条第2項)
週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。 ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
「起算日に応当する日の前日に満了する」—— 2025年4月1日に付与されたなら、応当する日は2027年4月1日で、その前日の2027年3月31日が最後に使える日になります。 そしてただし書が、応当する日が存在しない場合を拾っています。 うるう日に付与されたときがこれです。
実際に計算するとこうなります
下の表の日付は、本サイトの計算そのものに5つの付与日を通して出したものです。 手で書き写した日付ではありません(同じ計算に自己テスト60件をかけています)。
| 付与日 | 最後に使える日 | 消える日 | 適用した規則 |
|---|---|---|---|
| 2025年4月1日 4月1日付与。いちばん多い形 | 2027年3月31日 | 2027年4月1日 | 第143条第2項本文(応当日の前日) |
| 2025年10月1日 10月付与。期首と関係なく同じ規則 | 2027年9月30日 | 2027年10月1日 | 第143条第2項本文(応当日の前日) |
| 2025年1月15日 月の途中の付与 | 2027年1月14日 | 2027年1月15日 | 第143条第2項本文(応当日の前日) |
| 2024年2月29日 うるう日付与。2年後に同じ日が無い | 2026年2月28日 | 2026年3月1日 | 第143条第2項ただし書(応当日が無いので末日) |
| 2026年3月1日 2年後がうるう年になる側 | 2028年2月29日 | 2028年3月1日 | 第143条第2項本文(応当日の前日) |
2024年2月29日に付与されたぶんは、2026年2月29日が存在しません。 ただし書のとおりその月の末日=2026年2月28日で満了します。 逆に2026年3月1日付与のぶんは、応当日2028年3月1日の前日2028年2月29日——うるう日が最後の1日になります。
自分の付与日で計算する → ・ その日数を使い切ったらいくらか →
原文は 労働基準法 / 民法(いずれも e-Gov法令検索・2026-09-06 取得)でご確認ください。 繰り越しの取り扱いや、古いぶんから消化するかどうかは条文に定めが無く、 就業規則によります。