よくある質問
条文に書いてあることと、書いていないこと
回答はすべて 2026-09-06 に取得した条文の範囲で書いています。 条文に定めが無い論点(買取の金額の決め方、税務上の扱い、どの付与ぶんから消化するか)は、「条文に無い」とそのまま書きました。埋めれば読みやすくなりますが、 それは当社の推測であって、あなたの会社に当てはまる保証がありません。
退職するとき、残った有給は必ず買い取ってもらえますか?
いいえ。労働基準法第39条は年次有給休暇について10の項を置いていますが、条文の全文に「買」「買取」「買上」「換金」という語は一度も出てきません。買い取ってもらうことを会社に請求できる根拠は、この条文の中にはありません。応じるかどうかは会社の判断であり、断られても条文違反にはなりません。
根拠:労働基準法 第39条(条文全文の語彙走査)
では、条文が保証してくれているものは何ですか?
2つあります。1つは「休暇を請求した時季に与えなければならない」という義務です(第39条第5項)。会社が別の時季にできるのは「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合」に限られていて、この場合も別の時季に与える必要があります。与えないという選択肢は条文に書かれていません。もう1つは「与えた休暇の期間に賃金を支払わなければならない」という義務です(第39条第9項)。
根拠:労働基準法 第39条第5項・第9項
有給は何年で消えますか?
2年です。労働基準法第115条は「賃金の請求権」は5年、「賃金の請求権を除くその他の請求権」は2年で時効消滅すると定めています。年次有給休暇を請求する権利は賃金の請求権ではないので、後者の2年に入ります。起算日は付与日そのもので、2年後の応当日の前日に満了します。2024年4月1日に付与されたぶんは、2026年3月31日が最後に使える日です。
根拠:労働基準法 第115条 / 民法 第140条ただし書・第143条第2項
なぜ付与日の翌日ではなく、付与日そのものから数えるのですか?
民法第140条は「期間の初日は、算入しない」と定めていますが、そのただし書に「その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない」とあります。年次有給休暇は付与日の午前零時から使えるので、このただし書に当たり、初日である付与日を算入します。だから「付与日+2年の応当日の前日」が最後の日になります。
根拠:民法 第140条
有給を1日使うと、いくらもらえますか?
労働基準法第39条第9項が3つの方式を挙げています。(1)平均賃金 (2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金 (3)健康保険法第40条第1項の標準報酬月額の30分の1、です。どれになるかは「就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより」決まるので、自分で選ぶことはできません。ただし(3)だけは、労働者の過半数で組織する労働組合または過半数代表者との書面による協定で定めた場合に限られます。
根拠:労働基準法 第39条第9項
標準報酬月額の30分の1に、端数が出たらどうなりますか?
条文にそのまま書いてあります。「五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げる」です。たとえば標準報酬月額26万円なら30分の1は8,666.66…円で、10円に対する端数6.66…円は5円以上なので8,670円に切り上げます。
根拠:労働基準法 第39条第9項ただし書
平均賃金はどう計算しますか?
労働基準法第12条第1項の本文は「算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」です。分母は労働日数ではなく暦の日数なので、月給制の人は1日あたりの単価が通常の賃金方式より低く出ることが多くなります。賃金が労働した日や時間で決まる場合(日給・時間給・出来高払制)には最低保障があり、「賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十」を下回ってはいけません。
根拠:労働基準法 第12条第1項
会社に「有給は使わせられないから買い取る」と言われました。これは適法ですか?
本サイトは適法かどうかを判定しません。ただし条文の並びとしては、第39条第5項が「請求する時季に与えなければならない」と定めており、会社ができるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」に他の時季へ移すことだけです。買取と引き換えに取得させないという取り扱いは、この項が定めている義務とは別の話になります。具体的な事案の判断は、勤務先を管轄する労働基準監督署または弁護士にご相談ください。
根拠:労働基準法 第39条第5項
有給の買取にかかる税金はどうなりますか?
本サイトでは扱っていません。税の取り扱いは支給の名目や退職との関係で変わり、労働基準法の条文には何も書かれていないためです。当社は一次情報で裏が取れないことを載せない方針なので、この点は国税庁または税務署にご確認ください。
根拠:(労働基準法に定めなし)
残日数のうち、どれが先に消えますか?
条文には「古いほうから使う」「新しいほうから使う」という定めがありません。どちらから消化するかは就業規則や労使の取り扱いによります。時効の計算は付与された年ごとに別々に進むので、残日数を1つの数字として見ずに、付与年ごとに分けて確認してください。本サイトの計算も、付与日を1つ入れて、そのぶんについて計算する形にしています。
根拠:(労働基準法に定めなし)